日本リフトクライマー協会

労働安全衛生規則 より抜粋

標記について、別添一のとおり社団法人仮設工業会長からの照会に対し、別添二のとおり回答したので了知されたい。
なお、地面に固定された形式で、作業床が動力によって昇降する足場については、昭和四三年八月二一日付け基発第五四一号により足場として取り扱うこととしているので、念のため申し添える。

 問 「移動昇降式足場」に係る疑義について

時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
日頃は、当会の運営につきましては、格別のご指導を賜り厚くお礼申し上げます。
さて、最近、主にビル建築工事現場におきまして、別添に示す構造の設備が使用されていますが、当該設備は労働安全衛生法上どのように取り扱われるのか、疑義が生じております。
つきましては、何分のご教示をいただきたくお願い申し上げます。
移動昇降式足場の概要等
1.移動昇降式足場の構造
− 図1 −
移動昇降式足場図へ
(1)概要(図1参照)
移動昇降式足場は、作業床(駆動ユニットに固定されている。)、マスト、シャシーの三つの部分から構成されている。作業床の昇降は、シャシー上に組み立てられたマストに沿って駆動ユニットにより行う。駆動ユニットには、ブレーキ付きギャードモーターを備えており、ペンダントスイッチの操作により、ギア・ラック方式による昇降を行う。
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(2)各部の構造と機能

作業床(駆動ユニットに固定されている。)

この部分は、作業者が作業を行うところであり、作業床の端部には、手すりと幅木が設けられている。昇降は、駆動ユニットのブレーキ付きギャードモーターにより行う。

マスト

この部分は、作業床の昇降が行われるところであり、移動昇降式足場の自立は、マストが10mまでで、それ以上の場合は、10m以内ごとに所定の取付方法で壁つなぎを取る。
移動する場合はマストの高さを10m以内として行う。

シャシー

この部分は、移動昇降式足場のベースになるところであり、走行用車輪、アウトリガー等により構成されている。なお、走行用車輪には動力は出ていない。

2.安全装置等

(1)

アウトリガーが伸びていない場合には、昇降操作ができないようにインターロック機能が組み込まれている。

(2)

作業床の出入口ドアが閉じていない場合には、昇降操作ができないようにインターロック機能が組み込まれている。

(3)

マスト裏の跳ね足場が上がっていない場合には、昇降操作ができないようにインターロック機能が組み込まれている。

(4)

積載荷重を超える過負荷状態では電気的安全装置が働き、昇降・走行ができない。

(5)

作業床が最下部にない場合には、走行できないようにインターロック機能が組み込まれている。

(6)

昇降の上限及び下限には、それぞれリミットスイッチが取り付けられており、昇降動作が停止する。

(7)

作業床が上限リミッターを通過したにもかかわらず停止しない場合には、突き抜けた防止金物にピニオンが当たり、機械的に停止する。(図2参照)

(8)

昇降のペンダントスイッチは二段動作となっており、上下二つのボタンを同時に押さなければ作動しない機構となっており、誤動作を防止する。

(9)

非常停止押しボタンは、作業台とシャシーの二ヶ所に付いている。

(10)

昇降時は、バトライトとブザーが鳴る。

(11)

作業台が定格速度の一.三倍を超えて落下した場合は、過速度ブレーキが作動して爪がピニオンギアにかみ合い、落下を防止する。(図3参照)

3.緊急降下装置

緊急降下装置は、マストの昇降に使用されているモーターのディスクブレーキを使用する。上下二台のモーターに付いているブレーキレバーを同時に引くことによって、ブレーキが半クラッチ状態になる。これを使って、少しづつブレーキを開放することによって作業台を安全に降下させることができる。(図4参照)

4.その他

(1)

移動昇降式足場は、人及び荷の運搬を目的とするものではなく、作業床の昇降は、位置決めのために行うものである。

(2)

移動昇降式足場を移動させる場合は、搭乗を禁止する。

− 図2 −
− 図3 −
− 図4 −
 答
1.
建設物等の高所部に対する部材の取付け、取外し等の作業において、労働者を作業箇所に接近させて作業をするために設ける作業床及び作業床の支持物から構成されていることから、労働安全衛生法上「足場」として取り扱うが、ワイヤロープ等によってつる構造のものではないことから「つり足場」には該当しないこと。
2.
自らの動力によって移動するものではないことから、高所作業車には該当しないこと。
3.
人又は荷の運搬を目的とするものではないことから、エレベーター又は建設用リフトのいずれにも該当しないこと。
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